動物性香料とは?現代ではほぼ手に入らない幻の香りをご紹介します!

Fragrance

こんにちは!香りの処方せんブログです。

今回は、天然香料の中でも特別な動物性香料についてのお話です。

現代では希少性・条約の面からまず手に入らない動物から得られる香料ですが、実は歴史的にかなり古く昔から様々な用途で使用されてきました。

最近ではそれら動物性香料の香りを再現した合成香料が販売されているので、知識としてぜひ覚えていってもらえれば、と思います!




動物性香料とは?

そもそも動物性香料とはどのような香料なのかご説明しておきます。

天然香料は大きく分けると植物からとれる「精油」「エッセンシャルオイル」と呼ばれるものと、動物性香料の2種類に分類されます。

実は動物性香料は世界中で4種類しかなく、どれも条約による規制やそもそもの希少性の高さから現代ではなかなか手に入りません。

他の香りと混ぜた時に纏まりを得られ、持続性も桁違いであることから、昔は香水や薬の原料として使用されてきました。

現代でもごくまれに高級な香水などに使用されていますが、乱獲などから絶滅危惧種となりワシントン条約で商業的な取引が原則禁止されているものがほとんどです。

また、これら動物性香料の原料となる動物の分泌物等は、単体では嗅ぐことがつらいほどのにおいだそう。

それが他の香りにほんの少しだけ加わることでなぜかリラックス効果や官能的な香りを放ち、全体を纏め上げてくれるというのだから驚きですよね。

「良薬口に苦し」的な感じなのでしょうか?

作者も一度でいいから本物の動物性香料を嗅いでみたい、と思います。

ムスク(麝香/ジャコウ)

おそらく動物性香料の中で一番有名であろうと思われる「ムスク」。

中央アジアやチベット、モンゴルなどの山岳や高原地帯に生息する「ジャコウジカ」のオスの下腹部にある香嚢という部分から採取されるゼリー状の分泌物が原料です。

マーキングやメスを引き付けるための香りで、直接嗅ぐと良い香りではないですが、これまた不思議で薄めると甘くて少しパウダリーな香りになります。

長い歴史の中でも強心効果や強壮効果により漢方薬の材料となったり、楊貴妃やクレオパトラが身に纏って男性を魅了したとされていたり、とても重宝されてきたことが伺えます。

それにしてもクレオパトラは香りのことを調べるとどこにでも出てきますね。。笑
それくらい香りに対する卓越した才能があったということ・・・

彼女の魅力で危うく話がそれるところでしたが、このジャコウジカはムスクに魅了された人々の影響で乱獲され、絶滅危惧種になるほど数が激減しているのが現状です。

現在はワシントン条約で取引が禁止されているのでまず手に入らないですが、最近中国で飼育しているジャコウジカから生きたままムスクの採取に成功したという事例もあるそうです。

近い将来また香りを楽しむことができたらなぁと思います。

代用品としては「ホワイトムスク」が有名です。

好きな香りは?と聞くと回答として断トツで多いのがこのホワイトムスク。

原料は合成香料で、本物のムスクに似た香りになるよう配合されたものを総称してホワイトムスクと呼びます。

作者はどのホワイトムスクやねん!と毎回心の中でツッコんでいます。笑

また、天然香料でも「アンブレットシード」という精油がムスクに似ているとされていて、作者も嗅いだことがありますが、ホワイトムスクと比べると落ち着いた甘いパウダリーに少しグリーンな香りのする精油です。

こちらの精油は単体でもブレンドアロマくらいの深みがあって個人的にはかなりオススメなのですが、あまり知られたくないので周りには内緒にしています。笑

今回はサラッとリンクだけ貼っておきますね。




シベット(霊猫香/レイビョウコウ)

東南アジアやアフリカに生息している「ジャコウネコ」の尻尾の付け根あたりにある香嚢から採取したペースト状の分泌物が原料です。

月に4回程度採取されるシベットは生きたままジャコウネコからとれるため、現代でも市場に出回っていますが、採取するにあたって動物虐待と非難されることもあるそうです。

名前にはジャコウとネコが付いていますが、採取されるシベットはムスクとは異なるものですし、見た目もどちらかというとアライグマやミーアキャットに似た細長い生き物です。

シベットはどちらかというと糞の香りが強く、かなり薄めて初めて香料として利用できます。

薄めるとクセのある香りですが、実は花のくさい成分と同じ成分だそうで、より花らしい香りに纏めて持続させてくれる魔法の香料です。

こちらは高級な香水に使用されることもあり、動物性香料の中では比較的身近に感じられる香料となっています。

歴史的にはムスクと似ていて、漢方として使用されたり、クレオパトラが使用したり、イタリアの名家メディチ家が使用したり、と現代まで長く愛されている香料です。

お気付きでしょうか。ここでもクレオパトラ姉さんの脅威は止まりません。

おそらく現代の私たちより香りに関して詳しかったこと間違いなしの天才ですね。

カストリウム(海狸香/カイリコウ)

他の動物性香料と比べると歴史的な話が少ないのがこのカストリウム。

アメリカやカナダなどに生息する「ビーバー」の香嚢を乾燥させて粉末状にしたものが原料です。

元々は毛皮を得るためにビーバーを捕らえる際、罠に誘うためにカストリウムを使用していたそうです。

シベットと同じく糞のような香りですが、薄めるとレザーっぽい香りや少しスモーキーな香り、樹脂のような香りといわれています。

さらにアルコールなどで薄めると、ムスクに似た甘い香りに変化するのだそう。

こちらもムスクと同じく現代では規制がかかり、ほぼ手に入らない香料です。

代用品として合成香料も開発されていますが、天然香料としては「ガルバナム」「キャロットシード」などが似たような香りとして用いられることもしばしばあります。

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アンバーグリス

ムスクの次に有名な動物性香料はアンバーグリスではないでしょうか。

最も謎に包まれた香料で、原料となるのは砂浜に打ち上げられたり、海を漂っていたりする謎の塊。

実は「マッコウクジラ」の腸内で副産物的に生成される結石だろうということまでは分かっているのですが、どのように生成されるかの原因や理由は不明なまま。

また、解体したクジラの体内でも発見されるのですが、それらと砂浜に打ち上げられたものでは香りも色も全くの別物だそうです。

クジラの体内で生成された塊が排泄され、その後長い年月をかけて海を漂流しながら日光にさらされたものほど色が白く香り成分も上質なんだという説もあります。

とにかくこの謎に包まれたアンバーグリスですが、全貌が解明されていないからこそ砂浜で少年が見つけて大金持ちに、といったようなニュースが出るくらい高価なものです。

拾ったとしてもゴミだと思って捨ててしまうことも多いのではないかと思われますが、実はものによっては宝くじに当たったレベルの大金で売れることも。

そんなアンバーグリスは白っぽい色であるほど高級品とされ、塊では少し生臭いですが、薄めると少しだけ甘く何とも言えない官能的な香りがするそうです。

こちらも元々の性質上希少性は高いですが、条約の規制でほぼ手に入らない香料となっています。

まとめ

今回は、現代では見ることの少ない動物性香料についてご紹介しました!

植物由来の「精油」と異なり、ワイルドで力強い「動物性香料」は昔から香りの持続性、妖艶性といった面でよく使用されてきたことが分かります。

今では乱獲などが原因で手に入らないですが、それほど香りが昔の人々の生活において重要なファクターだったことを改めて感じますね。

皆さんも砂浜を歩く際はアンバーグリスがないか目を見張りながら歩いてみてはいかがでしょうか。笑

ではまた!

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